ささやかで幸せな暮らしとは何か―― ~映画『この世界の片隅に』

  

アニメ映画といえば、今年、一大ムーブメントを引き起こした映画『君の名は。』を挙げられますが、時代背景やストーリー、映像美、音楽……すべてにおいて『君の名を。』を超えたと呼び声が高い映画が現在上映中の、

 

『この世界の片隅に』

 

です。

 

物語は、1944(昭和19)年2月、浦野すずは広島市江波から呉の北條周作のもとに嫁ぐところからスタートします。呉はそのころ日本海軍の一大拠点で、軍港の街として栄え、世界最大の戦艦と謳われた「大和」も呉を母港としてしました。そんな見知らぬ土地で、海軍勤務の文官・北條周作の妻となったすずの日々が始まるのです。戦時下、夫の家族や近隣の人々に囲まれながら、配給物資がだんだん減っていく中でも、工夫を凝らして食卓をにぎわせ、衣服を作り直し、時には好きな絵を描き、毎日のくらしを積み重ねていくのです。

 

1945(昭和20)年3月。呉は、空を埋め尽くすほどの数の艦載機による空襲にさらされ、すずが大切にしていたものが失われていく中で、それでも毎日は続き、そして、昭和20年の夏がやってくる――。

 

原作は、出世作となった『夕凪の街 桜の国』に続いて「戦争と広島」をテーマに描いたこうの史代の同タイトルの漫画です。日常生活を主なテーマとした様々なタイプの作品を執筆、綿密なリサーチによる膨大な情報と、マンガ表現への挑戦がさりげなく織り込まれており、その創作姿勢と高い完成度から多くのマンガファン・書店員から熱い支持を得ています。
映画化にあたっては、監督・脚本を務めた片渕須直が、こうのに許諾を請う手紙を送り、実現。資金調達にクラウドファンディングサイトMakuakeで2000万円を目標に行われ、10日足らずで達成、支援者数は国内クラウドファンディングの過去最高人数で、支援金額も映画部門では国内最高記録となりました。

 

公開後は、小規模公開ながら興行通信社発表の全国映画動員ランキングで初登場10位にランクイン、主要劇場では初日で全回が満席となり、上映終了後には拍手が巻き起こったのです。「絶賛」コメントがSNSで拡散されたことで、映画.comが掲載する「つぶやきランキング」では、同ランキングで8週に渡って1位であった『君の名は。』を引きずり降ろし首位に立ちました。特に、配給元の東京テアトルの膝元となるテアトル新宿では連日売り切れ、立ち見が続出し、同館の過去10年間の週間興収を塗り替え、東京テアトルの株価が急上昇したほどです。

 

またクラウドファンディングサイトで、映画『この世界の片隅に』の海外上映を盛り上げるため、片渕監督を現地に送り出したい」が開始。目標は1000万円、開始して1日経たずに約1500万円に到達し、新規の支援を控えてもらう呼びかけが行われ、オーディエンスに支えられ盛り上がった作品です。年明けまでに、公開館は100を超える見込みなのぜ、ぜひ、劇場に足を運んでみてください!

 


『この世界の片隅に』

原作:こうの史代

監督:片渕須直

© こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

順次全国公開

原作の漫画もおすすめです。やわらかなタッチで描く彼女の漫画もぜひ。

 


『この世界の片隅に(前編)』
コミック: 218ページ
出版社: 双葉社 (2011/7/21)

 

『この世界の片隅に(後編)』
コミック: 214ページ
出版社: 双葉社 (2011/7/21)

 

『夕凪の街 桜の国 』
 コミック: 103ページ
 出版社: 双葉社 (2004/10/12)

 

 

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