ここ何年か前から、若い女性を中心に「写経」体験がブームになっているのをご存知でしょうか。でも、「写経に興味はあるけど、私は字がへただから」「筆を持つのは苦手だから」とためらう人が多いのも事実。でも、写経というものは、本来心をこめて丁寧に書けばよく、字のうまい下手は関係ないんですって。仏道修行で人々に仏道を拡散し、大願成就を祈ることが始まりなのです。
ここで、わが国の写経の歴史を。
日本書紀に、「書生を聚めて、始めて一切経を川原寺に写す。」とあり、その後、聖武天皇のころ、写経司を任命し、これら専門のものが書写して収蔵し、また、諸国の国分寺等に配布されました。それがおそらく平安時代ごろから修行の為や、病気平癒、先祖供養など祈りや願いを目的にした個人的写経が始められたようです。平清盛が一族の繁栄を祈願した写経が、当時は山や海の自然を「カミ」として祭ったことから神社に納め平安と豊かさを祈願されたのでしょう。鎌倉時代以降、しばらくは平安時代と同じような傾向が続きますが、禅宗が不立文字を唱え、浄土宗、真宗、日蓮宗、時宗等の鎌倉仏教も経典の書写には重きを置かなかったので、やがて写経は下火となっていくのですが、写経には長い歴史があり、多くの人の信仰生活に心のやすらぎを与える糧となってきまことに間違いはありません。それは身と心を調えて行う写経の心が、そのまま仏さまの教えの心に通うからにほかならないのです。そしてこの写経の心は、時代を越えて、道を求むる人にとって大きな心の支えとなっていくのです。
今では、寺や関係する施設で写経体験ができます。写経はただ写すだけで功徳があると言われており、その効果としましては、
精神を統一させ、集中力を高める
「一文字一文字を集中して書く」という行為が、集中力を高めます。脳のいつもは使わない部分を活性化させる効果も存在します
姿勢が良くなる
筆か筆ペンを用いて記すので、おのずと姿勢が正しくなります。
字が上手くなる
薄墨で書かれた経典をなぞる方式となっています。お手本があるので、美しい字を書く練習にも最適。
心身のリラックス効果
無心で文字を記すことにより、余計な雑念が消えて頭をすっきりとさせることができます。
と言われています。現代に生きる私たちは、写経によって静かに落ち着いた時間を大切にするとともに、祈りや願いを生活の中に活かしていく一つの証としたいものです。
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